出版物

社養協で取りまとめた書籍や報告書を紹介します。

紀要『社会教育職員研究』

『社会教育職員研究』は、年1回刊行します。
各部1,000円(郵送の場合は、各部1,200円)です。
ご希望の方は、必要な号数・部数を事務局までご連絡ください。

『社会教育職員研究』論文投稿規程

1.投稿者は、全国社会教育職員養成研究連絡協議会の会員で、投稿時における当該年度までの会費を納入済みであること(共同研究の場合は1名を含むこと)。なお、紀要編集委員会からの依頼論文については、非会員も投稿できる。
2.原稿は、社会教育職員や社会教育実践に関しての、①研究論文、②研究ノート、③調査報告、④実践記録、⑤書評・新刊紹介のいずれかで、未発表のものに限る。
3.原稿の掲載は、紀要編集委員会が依頼した委員による査読の上、審査決定する。
4.審査の公平を期するために、以下のことに留意する。
(1)原稿には、氏名、所属等を記入しないこと
(2)別紙1枚にタイトル、氏名、所属、連絡先(住所・電話番号・メールアドレス)
を記入すること
(3)原稿に「拙著」「拙稿」「著者の既発表論文」など、投稿者名が判明するような記述を行わないこと
5.審査結果は投稿者宛に通知する。なお、投稿原稿は返却しない。
6.原稿は、A4判、横書き、16000字以内とし、文字数計算にあたっては、本文のほか、注記、図表等の該当スペースを含むものとする。
理事会承認(2016.7.25)

社養協通信

会員向けに、年4回以上発行しています。記事の一部をご紹介します。

通信第98号(2022年1月24日)巻頭言

「社会教育の新たなフロンティアに向けて!-2022年の初夢に想う-」
田中雅文(日本女子大学)

 その時、私は一瞬わが耳を疑った。歯磨きをしながら聞いていたラジオのニュースで、アナウンサーが画期的なことをしゃべっているではないか。政府発表によると、自治基本条例に社会教育を明確に位置付けることを、全国の市区町村に呼びかけていくというのだ。ついに来たか、我々の時代が!思わず私は、歯ブラシを片手に泡だらけの口でバンザイを叫んでいた。その声でハッと目を覚ました私は…、何ということは無い、2022年の初夢を見ていたのであった。
 しかし落胆する暇もなく、次の瞬間、私はPCに向かって全国の自治基本条例を検索していた。たまたま見つけた栃木県益子町のまちづくり基本条例(自治基本条例に相当)。あるではないか、社会教育が。第12条(教育と学習)に「私たちは、互いを尊重し合い、社会の一員として生涯にわたって学ぶよう努めなければならない。」「私たちは、社会教育を推進し、まちづくりに参加できる担い手を育成するよう努めなければならない。」と明記されている。
 もっとも、これはレアケースである。何百とある自治基本条例のうち、社会教育はおろか市民の学習(学び)がきちんと位置づけられているものも少ない。多くの場合、住民の参加・参画や協働は当然のように書かれているものの、それを支える住民の学びが担保されていないのが実情である。砂上の楼閣のような条例だと私の目には映る。
2018年に出された中央教育審議会答申「人口減少時代の新しい地域づくりに向けた社会教育の振興方策について」では「人づくり、つながりづくり、地域づくり」が謳われ、地域づくりについては「学びと活動の循環」の重要性が提示されている。にもかかわらず、実際の自治体政策の中では「学び」に焦点があたっていない。
 それでも、希望の芽はいくらでもある。内閣府データによると、全国のNPO法人の約半数は社会教育を事業の一つに据えている。各自治体の市民活動センターでは、市民活動に関する学びの機会を数多く提供している。私の住む地域の市民活動に関する計画でも、学びの機会の提供が重点施策になっている。私自身が行っている雑木林の保全活動でも、講演会やシンポジウム、地域フォーラム、各種の研修会を継続的に実施しており、ミッションである生態系豊かな雑木林の育成のために社会教育活動が不可欠である。
教育委員会事務局での発令にこだわらない社会教育士の制度が生まれた今、地域づくり・市民活動の分野で社会教育のフロンティアを見出していきたいものである。